「詳しくは長くなりそうだし、あとで話す」
また撫でられる頭。
私はその言葉に頷く。
頷いた、けど……。
つかんだ袖はなかなか離せなかった。
私が目を瞑ったら、行っちゃいそうだったから。
「あ、そうだ。これやるよ」
暁は思い出したようにしゃがむと、置いていたものを手に取って。
それを私に見せた。
見えたのは……可愛らしいガラス花瓶に入った、お花。
……買ってきてくれたの、かな。
わざわざ、私のために……。
「すごくきれいだね、ありがとう」
「ゾーカ?ってやつ。花はダメって言われたからこれ買ってきた」
ゾーカ?
あ……造花、か。
本物のお花かと思ったけど、造花なんだ。
造花もすごくきれい。



