月夜に笑った悪魔



柔らかい頬。
引っ張って、軽くぺちぺち叩く。


「……ぜんぜん痛くねぇ」
「痛くしてないもん」


「思いっきりしろよ」
「暁は、自分を大切にしないバカだね」


「…………」


彼がまた口を開きかけた時に頬を引っ張った。


なんだか可愛い顔。
抵抗できずに遊ばれている暁を見て思わず笑ってしまう。


暁は、少しムッとしてるけど。


……こうして遊ばれてればちゃんと年下に見えるのにな。




「イチャイチャしてるとこ悪いけど、ちょっと追ってきてるっぽいからしっかりつかまってなさい」


紫乃の声が耳に届けば、さらにはやくなる車のスピード。


車が左折すれば、大きく体が傾いた。