柔らかい頬。
引っ張って、軽くぺちぺち叩く。
「……ぜんぜん痛くねぇ」
「痛くしてないもん」
「思いっきりしろよ」
「暁は、自分を大切にしないバカだね」
「…………」
彼がまた口を開きかけた時に頬を引っ張った。
なんだか可愛い顔。
抵抗できずに遊ばれている暁を見て思わず笑ってしまう。
暁は、少しムッとしてるけど。
……こうして遊ばれてればちゃんと年下に見えるのにな。
「イチャイチャしてるとこ悪いけど、ちょっと追ってきてるっぽいからしっかりつかまってなさい」
紫乃の声が耳に届けば、さらにはやくなる車のスピード。
車が左折すれば、大きく体が傾いた。



