「親父、帰る前に俺と美鈴、ちょっと寄るとこあるから。15分くらいで帰る」


そう言うと、席を立つ暁。
寄るところ、とはいったい。


「こっちは任せて、若者はデートして来てもいいよ」


つないだ手に視線を落とすと、にこにこと笑う暮人さん。


「さすがに戻る」
「あはは、そうか」



短い会話のあと、私は手を引かれ。
立ち上がり、ぺこりと頭を下げてから暁のあとについて行った。



「ね、ねぇ、寄るところって?」


外へと出て、気になったことを聞く私。


「俺の母親のとこ」


彼はただひと言答えた。
答えは、予想外なもの。