「み、見ないで……」


余計に恥ずかしくて下を向く、が。


「かわいー顔、もっと俺に見せて」


暁は顔を近づけて、じっと見てくる。


また、そんな言葉をさらっと言って……。
……本当に、なんてずるい男だ。

ちょっと油断すればすぐドキドキさせられるんだから。


「……っ」



体は熱くなるばかり。
強く手を握ると、彼はそれ以上の力で手を握り返してくれて。


そんなことをしていると、



「さっ、帰ろうか」


暁のお父さん──暮人さんは、良典さんに体を支えられながらこっちまで来た。