月夜に笑った悪魔



暁は、すごく大切に思われてる。
やっぱり、暁の両親は復讐を望んでいるわけがないんだ……。


ただ幸せになってほしいと思っているのに、暁は……っ。



「良典、退院の手続きをしてきてくれないか」


暁のお父さんは、今度は良典さんに視線を向けた。


耳を疑うような言葉。
退院の手続き、なんて……。


今日、ついさっき目覚めたばかりなんじゃ……?
それなのに、退院って……。


「なにを言ってるんだ……!最低でも3日は病院にいろ!」


良典さんは簡単に頷くわけもなく。
そう返すが、暁のお父さんは……。


「まずは暁をとめないといけないからね」


にこりと笑うと、また体を起こそうとする。


まだ、ぜったい本調子じゃないのに。





「私がとめます……!!暁は、私がとめますっ!!」


その様子を見て、大きく手を上げた私。