月夜に笑った悪魔



「私は話すことがある」
「……俺はねぇ」


「私はあるから、ちゃんと聞いて……!」
「うるせぇな!!」



強い力で振り払われる手。
怒鳴られるように言われ、体が一瞬動かなくなった。


……暁に、ここまで大きな声で言われたのははじめて。


私が動かなくなれば、はっと我に返る彼。
一瞬申しわけなさそうな顔をすると、また背を向けて。

今度間こそ病室を出て、去っていく。



私は、またすぐに追いかけようとしたが……。





「……すまないね」


後ろから聞こえてきた、暁のお父さんの声。