月夜に笑った悪魔



「……暁」
「あんなことしたやつらがのうのうと生きてていいわけねぇだろ。あいつらは、俺がこの手で必ず殺す。俺一人でも、月城組は絶対に潰す」




さらに低い声が耳に届き、ゾクリとする。


……暁なら、やる。
一条組がとまっても、暁なら本当に1人で……。


それこそ、暁の命が危ない。
死んじゃうかも……。


「暁……!強い力は、大切なものを守るためにあるんだ。人を傷つけるものじゃない……。昔から何度も言っただろう」
「充分守るために戦うんじゃねぇか。これ以上、あいつらに奪われないように、守るために殺すんだろ」


「それは守るとは言わない……。暁、よく考えろ。おまえがやろうとしていることは手を汚すことだ。その罪は一生背負うことになって、その汚れた手ではもう大切な人も──」
「じゃあなに。このまま黙ってろって……?ふざけんな。俺はこんなことされて許してやれるほどバカでもねぇんだよ」



暁は、ギロリと鋭い目つきでお父さんを睨みつけるとこの場を去ろうとする。