「……月城組と、大変なことになっているんだってな。話は……ぜんぶ聞いたよ」
そう言ったお父さんは真剣な表情。
それから、続けて口を開き……。
「暁、月城組とは……もう争ってはいけない」
次の言葉は、静かにこの場に落ちた。
これは……抗争するな、ってこと。
暁のお父さんも、争いはだめだと思ってるんだ。
一条組の組長が言うなら、明日の抗争……一条組はとまるかもしれない。
組のトップに立つ人だから、その可能性は高い。
その言葉を聞いた瞬間、暁は勢いよく立ち上がった。
「…………」
納得がいかないという顔。
拳を強く握って、無言でお父さんを見る。
その強く握られた拳を、お父さんの大きな手が包みこむように強く握った。



