「…………」
暁は、ピタリと足をとめて動かない。
ここでも、驚いた表情で瞬きを繰り返す。
……まだ、信じられていないみたい。
長い時間目を覚まさなかったから、まだちゃんと信じられていないんだろう。
「……こっちへおいで」
暁のお父さんの手がゆっくり動き、手招きで呼ぶ。
それでも暁は固まったまま。
「暁……」
私は彼の背中を強く押して、ベッドの横へと連れていった。
邪魔になるかと思いすぐに病室の隅っこへと移動しようとしたのだが、彼は私の手をつないだまま離さず。
仕方ないから私は1歩だけ後ろにさがった。



