***
数回来たことのある病院。
その別棟の2階、【一条暮人(いちじょう くれと)】とネームプレートがある個室。
その病室の前に黒服姿の人が何人もいて、暁が来ればすぐに病室の扉を開けてくれた。
病室へと入れば、中にいたのは数人。
蒼真と千梨、2人のお父さんで組長補佐の良典さん、絵音。
病室の四隅には見張りなのか、黒服姿の一条組の組員が立っている。
そして真ん中のベッドには、入院着に身を包み酸素マスクをした50代くらいの男性。
この人が……暁のお父さんであり、一条組の組長。
「……暁」
暁と私が病室に入れば、暁のお父さんは横たわったまま視線をこっちに向けた。



