「確かに、月城組がしたことは許されることじゃないよ。でも……暁も同じことをしていいわけない。
この間、車でさらわれた時……月城岳の双子の姉弟、暁も見たでしょ?あの2人は、月城岳のことを大切に思って──」
「俺はあいつらを殺して罪を償わせるだけだろ」
私の声は途中で遮られ、強い力で離された体。
ひどく冷たい声。
殺すことが少しも悪いことだと思っていないというような言い方。
私は一瞬動けなくなるが、彼が部屋を出ていこうとするから慌てて起き上がって袖をつかんだ。
そして、再び口を開こうとした時に──。
聞こえてくる足音。
その音はこっちに近づいてきて……叩かれた襖。
「暁!!暁、いる!?」
向こうから聞こえてくるのは、吉さんの声。



