暁の手は本当に大好きで、頭を撫でてくれるのは嬉しい。 けど、そんなんじゃ少しも安心できない。 「……行かないで、お願い」 背中に手をまわし、彼を強く引き寄せた。 密着する体。 急に引き寄せたから、伝わってくる彼の重さ。 それでも離さずに、抱きついた。 強く、強く……。 「……何度も言うけど、俺は死なねぇよ。明日はぜんぶ終わらせるから安心しろ。……月城岳と、月城組組長は俺が殺す」 耳元で聞こえてくる声。 最後の言葉はひどく冷たくて、ゾクリとする。 殺す、なんて……。