月夜に笑った悪魔



暁の手は本当に大好きで、頭を撫でてくれるのは嬉しい。
けど、そんなんじゃ少しも安心できない。





「……行かないで、お願い」


背中に手をまわし、彼を強く引き寄せた。


密着する体。
急に引き寄せたから、伝わってくる彼の重さ。


それでも離さずに、抱きついた。
強く、強く……。





「……何度も言うけど、俺は死なねぇよ。明日はぜんぶ終わらせるから安心しろ。……月城岳と、月城組組長は俺が殺す」



耳元で聞こえてくる声。

最後の言葉はひどく冷たくて、ゾクリとする。


殺す、なんて……。