月夜に笑った悪魔



もう一度これでもかと手を伸ばし、今度手に取ったのは制服のスカート。


そのスカートのポケットに手を入れれば、確かに入っていた紙。



たぶん……未玖ちゃんからもらった連絡先。

とりあえずそれがちゃんと入っていたから、ひと安心。





「この状況でもずいぶん余裕だな?」


私の上に覆いかぶさっている暁は、口角を上げて見下ろす。


彼の手は乱れた浴衣の隙間からするりと入り込み、肌に直接触れた。



さっきよりも体温が戻った手。
でも……まだ少し冷たい。




私が今日、暁をとめられなかったら……この手は本当に冷たくなって動かなくなってしまうかもしれない。


月城組という大きな組織とぶつかれば、ほかの人もただでは済まないだろう。