天井に当たった銃弾。
暁がさらに力を入れると、男性の手から拳銃は離れて……。
落ちそうになったところを、暁はすばやくキャッチ。
拳銃を手にした彼は、金髪の男性にそれを向け──……響いた、乾いた音。
つぅっとその男性の頬から流れた赤い血。
……はずしたのは、わざと。
「それ以上、美鈴になにかすれば殺す」
暁の低い声。
冷たい瞳で男を捉え、睨みつけている。
それを見た金髪の男性は、あまりの恐怖でガタガタと体を震わせた。
「美鈴、待ってろ」
大人しくなったのを確認して、暁は私と目を合わせたあと──。
急カーブで車は曲がって、大きく揺れる車内。
そのせいで、私の体は倒れた。
「……っ!」
……そうだ。
助けが来ても、まだ車はとまらない。



