月夜に笑った悪魔




反射的に私も金髪の男性も振り向けば、目に入ったのは……。

ハンドルから片方の手を離し銃を向けていた月城岳の姿。



後ろにいたメガネをかけた男性に向けて撃っていたみたいで、その男性は手から血を流し、持っていたナイフが下に落ちていた。




未玖ちゃんと巧くんは、ぽろぽろと涙を流しているけど無傷。









私たちがうしろを振り向いた、その隙を逃さず。


暁は片方の手をハンドルから離し、金髪の男性の腕を掴んだ。


掴んだのは、拳銃を持っている手。


「くそっ……!」


彼が力を入れるから、その拳銃は私の頭から離れ。





耳元でする乾いた音。

でも……体のどこにも痛みはなかった。