月夜に笑った悪魔





……争ってない。

一条組と月城組は、死ぬほど仲が悪いのに……今は争ってない。




「ほかに銃はねぇのか!?撃ち落とすから貸せ!!」


ほかの銃を手に取ると、男性はまた窓から顔を出し銃を構える。



……また邪魔をすれば本当に殺されるかもしれない。
殺されるかもしれない、が……私はどうしても暁にその銃弾が当たることが怖くて。


もう一度、その背中を蹴り飛ばそうとした時に……うしろに座るメガネをかけた男性に、ナイフを当てられた。



それは首元に当てられ、『動けば殺す』という脅し。


「……っ」


大人しくピタリと動きをとめると、聞こえてくる銃声。




1発、2発、と乾いた音が響く。