月夜に笑った悪魔




やっぱり聞こえてくる、バイクのエンジン音。
よく耳を澄ませば、聞こえてくる音は2つ。



車は猛スピードで走っているはずなのに、その音はどんどん近づいてくる。





聞こえてくる音と“一条暁”という名前に、目に涙が浮かんで。
瞬きをすれば、ぽたりとこぼれ落ちていく。




月城岳と、なんてすごく驚きだけど……やっぱり。
やっぱり、暁は来てくれたんだ。


暁っ……。



「そんな……うそだろ!?」
「あの争ってる2人が一緒に!?」



驚く金髪の男性と和正の2人。

金髪の男性もうしろを振り向くと、青ざめた顔をした。





「……こうなったら、ここで撃ち殺してやる」



低い声が聞こえてきて、男性はスーツの内側から何かを取り出す。



取り出したものは、黒くて艶のあるもの──……拳銃。