私の上に覆いかぶさっていた男性は体を離して、車内によくつかまった。
私は今のうちになんとか体を起こそうとするが、手足が動かないせいと車が大きく揺れるせいでまったく起き上がれない。
……暁っ!!
心の中で強く彼を呼ぶ。
助けが来てくれたのだとしたら、このスピードでは追いつけないかもしれない。
少しでも妨害したいのに……っ。
「これなら絶対追いつけないだろ……」
和正は運転しながら笑う、が。
「和正……!!うしろに、一条暁と月城岳の2人が……っ!!」
メガネをかけた男性は車のうしろを見て、顔色を悪くした。



