月夜に笑った悪魔




どんどん不安と恐怖が押し寄せる。
体が震えて、じわりと目に涙が溜まっていく。



「絶望するカオ、俺は好きだぜ」





近づいてくる男性の顔。
そっぽを向けば無理やり前を向かされて。




もう無理なのか、と思ったが──……。













微かに聞こえてくる音。





バイクのエンジン音。
……その音は、近づいてきている。



「……あかつきっ」


ぽつり、と声が出た。