どんどん不安と恐怖が押し寄せる。 体が震えて、じわりと目に涙が溜まっていく。 「絶望するカオ、俺は好きだぜ」 近づいてくる男性の顔。 そっぽを向けば無理やり前を向かされて。 もう無理なのか、と思ったが──……。 微かに聞こえてくる音。 バイクのエンジン音。 ……その音は、近づいてきている。 「……あかつきっ」 ぽつり、と声が出た。