月夜に笑った悪魔



未玖ちゃんの首元には当てられている刃物。
彼女は大きな瞳から涙を流し、震えている。




その声に、ピタリと動きをとめる金髪の男性。



「邪魔すんなよ、クソガキ。死にてぇのか」


未玖ちゃんの声がよほど気にさわったのか、男性は低い声をだし、鋭い目つきで睨みつけた。


ビクッ、と大きく体を震わせる未玖ちゃん。


「おいクソチビ、次しゃべったらこいつ先に殺すからな」


メガネをかけた男性は、未玖ちゃんの首元から刃物を離し。
今度は隣にいる巧くんの首元へとそれを当てる。


「……っ」


それを見た未玖ちゃんは、声が出せなくなり……。
ただ、私を心配そうに見つめて震えながら涙を流し続けた。



まだ小さな子たちなのに、こんなに怖がらせるなんて……。






「……未玖ちゃん、巧くん、大丈夫だよ。すぐ助けが来るから」



私は必死に声を出し、笑顔を見せた。