……暁が復讐を望んでいて、月城組との戦いが続く以上、これからもこんな不安を抱えて生きていかなくちゃいけないんだ。
月がきれいに見える真夜中。
私は縁側に座って、月に願った。
『暁が私のそばからいなくなりませんように』
……私が大切な人たちは、全員私のそばからいなくなる。
お父さんも、お母さんも、和正も。
それで暁までいなくなったら、私は生きていけないだろう。
暁の温かさも、優しさも、ぜんぶ知らなかった頃にはもう戻れない。
だから……どうか神様、暁まで私から奪わないで。
「……暁」
ぽつりと小さく彼の名前を呼んだ、そのあと。
「起きてた」
ギシッと床が軋む音。
同時に声もして、反射的に音のしたほうへと目を向けると……黒服姿の暁はいた。



