月夜に笑った悪魔



「暁って、本当は……私のことそこまで好きじゃないでしょ」


頭痛がする頭でぼんやり思うが、私が今言っているのはかなりめんどくさいこと。
でも、体が熱に支配されているせいでとめられない。



「……なんでそうなるんだよ」
「……暁の本心を知ったから」


「はぁ?」
「“関係ない”って、言った。暁は……私の声に耳なんか傾けてくれないんだ」


「あれは言いすぎたって。まじで悪かった」
「…………」




また、心のこもってない謝罪。
……だから、そんなのはいらないんだってば。



そんな心のこもってない謝罪なんかいらないから、『もう復讐をやめて』。
もう、『傷ついてほしくないし、誰も傷つけてほしくない』。


『復讐なんて考えずに、幸せになってほしいんだよ』。



その言葉は口に出せず、喉の奥でつっかえた。