帰らない、って。
この状態でここにいるつもりなのか。


「病院戻るの!どう見たってまだ完全に回復してないじゃんっ!」
「……ヤダ」



ヤダ、って。
この顔色でなんてことを。


「ヤダじゃない!ぜったい体辛いでしょ!?」
「……せっかく会えたんだからもっとそばにいろよ。俺はおまえがそばにいないほうが辛いんだけど」


私の肩に暁のおでこが乗せられて、体重をぐっとかけられる。


その重さで私は地面に座り込み、彼の体が倒れないように必死に支えた。



「いるから……。ちゃんとそばにいるから、病院戻るよ」


強く抱きしめて、ぽんぽん頭を撫でる。


「……年下扱い?」


暁はそうされて聞いてくるが、笑っているからあまり嫌ではなさそう。


「可愛がってるの」
「……美鈴は、今度俺がたっぷり可愛がってやるから」


「……うん。もう、長く寝てたらダメだよ」
「わかってるって」