「おまえは俺のもんだから」


私へと伸びてくる手。
その手は、優しく涙を拭ってくれる。


弱々しい声。
その言葉は嬉しい、けど……。



「蒼真がすぐ来てくれるからすぐ病院戻ろう……!」


私は今、暁の体のほうが心配。
だからそう言ったのだが……



「……返事は?」


彼が言ったことに私は返事をしなかったから、不満そうな表情。


そして「おまえは俺のもんだろ」ともう一度言ってくるから、


「もちろんそうだから……!」


私はこくこく頷く。
それを見た暁は、なんだか満足そうな表情に。


ほんと、今はこんなことを話してる場合じゃないのに……。


「蒼真がすぐ来てくれるはずだから、校門のところで待ってよう!暁、立てる?」


ごしごし涙を拭って、私は彼の両手を握るけれど。


「……帰らねぇ」


彼はぼそっと呟いた。