*
「美鈴、ちょっといい?」
お昼休み、私に声をかけてきた隼人。
「うん」
私は頷いて、2人で向かった屋上。
隼人は、あんなことがあってからでも変わらず私に話しかけてきてくれる。
もう話せないかと思っていたけど……彼は1週間前に助けられたことのお礼と、『美鈴は美鈴だろ?』と優しく言ってくれて。
こうして今も話して、話を聞いた。
聞いたのは、隼人のバイトのこと。
あんなことがあって、隼人はちゃんとした仕事をこれからも続けることにしたらしい。
学校はやっぱり休みがちになってしまっているみたいだけど、留年しない程度に頑張ると言っていた。
「一条組の若頭は、その後どう?目、覚めた?」
屋上へと到着すると、すぐに聞いてきた彼。
その言葉に私は首を横に振った。



