月夜に笑った悪魔



一気に力を込められて、呼吸ができない。


「……っ」


真っ黒な瞳。

両手を押さえつけられているわけでも、今は銃を突きつけられているわけでもないのに、その瞳を見るだけで怖くて全く抵抗できなくなる。



……苦しい。
このままだと死ぬ、のに……体が思うように動かない。


やだ……っこんなところで死ぬわけには……!



黒い瞳は、私が苦しそうにしているところを楽しそうに見て。




「おっと。殺すのは一条の前で、だった」


はっと我に返ったように、数秒で首から手を離した。



手が離れると、私はその場に崩れ落ちて。
酸素を求め、必死に呼吸。


もがくように酸素を吸えばむせてしまって、うまく呼吸ができない。