月夜に笑った悪魔



私に向けて撃たれたわけじゃない。
おそらく、私がどこに向かったかわからないようにさっき投げた靴か懐中電灯の近くを撃ったんだ。



……もしそこにいたら、なんて考えると怖い。
次に撃たれるのは、私かもしれないんだ。





「ほんのちょっとは頭使ったようだなぁ。でも……残念だな?動いたら気配でわかるんだよ」


楽しそうに笑う声とともに、こっちに近づいてくる足音。




……き、気づかれた!?
銃声でびっくりしたから……。


殺される、このままここにいれば殺される……っ!



心臓がありえないほど早く動いて、体にうまく力が入らなくなる。


どうしよう、どうしよう……!
動けばすぐに撃たれるし、ここにいても私の命は……。




焦っている間にも確実に近づいてくる足音。

それでも動けないでいると──。






──ピピピピピピッ


急に鳴り出したスマホのアラーム。
私がさっき設定しておいたもの。