それから靴を脱いで、その靴も遠くへと投げる。
投げた方向は、それぞれちがうところ。
これで少しでも迷わせて、時間稼ぎになれば……。
私はスマホを隠した茂み、その近くの木の後ろへと身を隠した。
できるだけ体を小さくして、息を殺す。
そうしたところで、カウントは終わり。
「さて、どこに隠れたぁ?」
いよいよ、月城岳が森の中へと入ってきた。
緊張で汗が出て、寒気がする。
もうひとつポケットに入れておいた、隼人からもらったカッターナイフをぎゅっと強く握った。
まだ、離れたところにある足音。
「そこかぁ?」
声がしたすぐあと。
乾いた音が二発。
その音で体がビクッと跳ねた。



