月夜に笑った悪魔



「早く死ぬなよなぁ。俺を呼んだからにはなにか作戦があるんだろ?存分に楽しませろよ~」


余裕たっぷりの楽しむような声。
ゆっくり歩く足音。


近くで聞こえる銃声。



こっちに向けて撃たれているはずなのに、一発も当たらない。

これは……わざとはずされてる。



この男は、私なんていつでも殺せるんだ。




私に作戦なんてなにもない。
いったいどうすれば……。



そう思いながら走っているうちに見えたのは、木造校舎に来る前に通ってきた真っ暗な森。



……そこなら、隠れられる。



「かくれんぼか?いいぜ、早く隠れろよ」



私が森の中へと入った瞬間、足音はとまって。


突然はじまったカウントダウン。
30からはじまって、ゆっくり数が減っていく。


月城岳のほうを見れば、彼は立ちどまって後ろを向いていた。