月夜に笑った悪魔



やがて足が地面につくと、私は大きく息を吸って。



「月城岳……っ!!私を殺すなら今がチャンスだっ!!」


大きな声を出した。


私は走り出すが……反応はなし。
もう一度、大きく息を吸って。





「月城──」


声を出そうとしたところで、私は途中で言葉を切った。


2階の、右端の教室。
そこの窓から見えた人影。



その人影は、確かに私をとらえ。
窓から身を乗り出し……──飛びおりた。







見事な着地。


あまりに信じられない光景。
……化け物かと思うほど。




「いいぜ……。一条より先に、おまえを殺してやるよ!」


聞こえてくる声は、月城岳のもの。

背筋がゾクッとする。



引きつけることには成功した。
成功した、けど……予想外なことをされ、あまり距離はない。


私はとにかく全速力で走った。