月夜に笑った悪魔



「危険だ……っ!」


ガシッと手をつかまれる。
隼人はすごく心配そうな表情。



わかってる。
でも、私はやめない。



「暁が……もし、死んじゃったら?もし、誰か殺しちゃったら……?
どんなに危険でも、私はじっとなんてしていられない」


不安と恐怖に心が支配され、どうにかなってしまいそう。
ぽろっと涙がこぼれ落ちるから、慌ててその涙を手で拭った。



だめだ、早く行こう。
じっとしているだけで自分の心がもっと弱くなる。


「隼人は隠れてて。一条組の助けを呼んだから、それまでここから出てこないで」


彼の手を強く引っ張ると立ち上がってくれて。
ロッカーの中に入ってくれた。



「……美鈴、本当に行くんだな」
「うん」


「じゃあ……せめてこれを」


隼人は自分の鞄の中を漁って、何かを取り出すとそれを私へと差し出した。



差し出されたものは、懐中電灯とカッターナイフ。