月夜に笑った悪魔



「えっ……美鈴は!?」
「私は外に出て月城岳を引きつける」



自分でも、無茶なことを言っているのはわかっている。
何も持っていない女が拳銃を持った人に自ら近づこうなんてどうかしてる。



でも……ここでじっとしてはいられない。


暁にばかり危ない目にあわせたくないし、傷をおわせたくない。
絶対に死んでほしくもないし、月城組を殺してほしくもない。



せめて、最も最悪な状況にならないようにだけはしないと……。



「……どうやって外に?」


隼人に聞かれ、私は窓の外の木を指さした。


私は、その木をおりて外に出るつもり。
もちろんその木が腐っているという可能性もあるけれど。


2階から落ちても打ちどころさえ悪くなかったら死にはしないだろう。

……たぶん。