ぎゅっと拳を強く握ると──。
「美鈴!!」
強い力でまた暁に手を引っ張られて、私の体は壁に押し付けられる。
それと同時に、乾いた音が響いた。
その乾いた音は……銃声。
それは、遠くからの攻撃。
明らかに教室のほうからこっちに向けての攻撃だった。
さっき入った時、教室内には誰もいなかったから……外に誰かがいる。
い、いったい誰が……。
「あーあ、はずしたか。あと少しでオンナ殺せるところだったのに。相変わらず野生の勘はいいなぁ、一条」
誰だろう、なんて疑問はすぐに解けた。
少し離れたところから聞こえてくる声、この声を私は忘れない。
耳にしただけで体が震えてしまうようなこの冷たい声は──月城組若頭、月城岳。



