月夜に笑った悪魔



「おまえ、月城組?」
「いや……俺はちがう」


暁が聞けば、かえってくる声。

その声を聞いて……







「……はや、と?」


思わず声が出てしまった。
それは、聞き覚えのある声だったから。



「えっ……美鈴?」


次に聞こえてくる声。

私も扉の後ろから出て、その人物をこの目で確認しに行った。





そして、男性の正面にまわって顔を見てみると……びっくり。



ド派手な金髪のその男性は、本当に隼人だった。



暗い中、確かに視線が合う。
彼も驚いた表情。



ここに入る前、この人を見た時に知り合いに似てるような気がしていた。

その知り合い、っていうのは隼人だったんだけど……本当に彼だとは。



「なんで……こんなところにいるの?」



小さく声を出せば、大きな手に腕を引っ張られた。
私の腕を引っ張るのは、暁で。


私は彼の背中へと誘導される。