神様に祈りながら足を動かしていると、彼が立ちどまり。
私もすぐにピタリと足をとめる。
足をとめたのは、森を抜ける一歩手前のところ。
彼は木の後ろに隠れるから、私は暁の背中にそっと隠れた。
……な、なにかいたのかな。
心臓がさっきから早く動いて落ちつかない。
落ちつかなすぎて、ゆっくり彼の背中から少し顔を出してみると。
見えたのは……とまっていた、一台のバイク。
ジャリっと砂を踏みしめる音が聞こえてくるから、その音がしたほう──木造校舎へと視線を向けると、ドキッと心臓が跳ねた。
木造校舎の昇降口らしきところ、そこには1人の人物がうろうろしていたのだ。
その人は、男性。
右手には、大きな鞄。
左手には懐中電灯が握られていて、一点明るく照らしている。
これは、オバケなんかじゃない。
……生身の人間。



