月夜に笑った悪魔



でも、本当に今は……。


「ほ、本当にごめんね?ゆっくりするのはまた──」



私が声を出している途中で、ため息をつく彼。
怒らせた、かと思えば。



「座れよ」


急に彼は私から離れて。

暁は私がさっきまで勉強していた小さなテーブルの前へと行くと、座るようにと促した。



「え?」
「トクベツに俺が教えてやる」


「……?」


教える、って言った?
今……。


暁とは学年ちがうよ?
私、2年生だよ?

もしかして忘れてる?



「ほら、早く」


急かされるからとりあえず私もそっちへと行って、腰を下ろす。
暁は隣に座って、開いて置いてある課題をじっと見た。




それから。


「ここちがう」


彼が指さしたのは、数学の問題。
私がさっきまでやっていたもので、答えがありえないくらい大きくなって放置したもの。


「え?」
「使う公式がまちがってる。こっち使うんだよ」


教科書に書かれているもうひとつの公式を彼が指さす。