月夜に笑った悪魔







夏休み明けに行ったテストでとった赤点、それは残念ながら1教科だけではない。


歴史だけでなく、数学と英語も。
3教科分の補習を受けて、私は3教科分の課題に追われていた。







そして、帰宅してから課題をやっていた時のこと。


──急に、暁が私の部屋へとやってきた。




「美鈴」


ノックもされずに開いた襖、目を向ければそこに彼がいてびっくり。


黒服姿の暁。
さっき帰ってきたばかりだろうか。


集中していたから、帰ってきた音もぜんぜんわからなかった。



「暁!おかえり……!」



立ち上がり、彼の元へと駆け寄ると彼は襖を閉めて。
それから、私を強く抱きしめた。



「……ずっとこうしたかった」


耳元で声が聞こえてきて、背中にまわった手に力が入る。



抱きしめられるのは久しぶり。
暁は忙しすぎて最近ずっとこうして触れ合えていなかったから。



ぜんぜん会ってなかったわけじゃないんだけどな……。




久しぶりだから、触れたいと強く思ってしまう。
私は……課題をやらなくちゃいけないのに。