「……ごめん。あの時、俺の両親が離婚してすぐ引越したんだ。
最後に挨拶できなくて本当にごめん」
申しわけなさそうな表情をする彼。
「そうだったんだ……」
家庭環境が複雑、とは聞いていたけれどそんなことがあったなんて。
「本当にごめんな」
「いや、隼人が謝ることじゃないよ。とにかくまた会えてよかった」
まだ未成年では両親の離婚をどうすることもできないし……。
親から言われた通りにするしかないだろう。
「そうだ、美鈴の連絡先とか聞いてもいい？今度はすぐ連絡できるように」
隼人はスマホをポケットから出す。
けれど、残念ながら私は。
「ごめん、私スマホ持ってなくて……」
こういう時に持ってない、って言うと連絡先を交換したくないみたいに思われてしまいそうだが、これは本当のこと。
「そうなの？」
「この間壊しちゃって……」
「そっか。それなら仕方ないか」
にっと彼は笑うと
「あっ！バイトの時間だ！」
自分のスマホの画面を見て慌てた表情。
バイト？
