「……思い出して眠れないの。一緒に寝てもいい?」


夜中、襖をノックする音のあとに聞こえてきた小さな声。


部屋の電気を消して、もう寝ようとしていたところだったんだけど、私の眠気は一気に消えた。


聞こえてきたのは芽依の声で、彼女はおそらく……暁の部屋に来たから。




私は飛び起きて、カチッと電気をつけた。
これは、起きてますよアピール。



芽依には客室が用意されていたはず。
お風呂に入ったら彼女はすぐに部屋に行ったから、もう今日は大丈夫だと思っていたけど……なにも大丈夫じゃなかった。



……やっぱり、侮れない。
中学生で、こんな夜中に男の部屋に行くなんて……。


中学生と言っても年頃の女。


一緒に寝ていいわけないじゃん……っ!
それになにさ、『思い出して眠れない』って!


それは暁のこと!?









「……入れよ」


次に聞こえてきたのは、暁の声で。

思わず、耳を疑った。



……えっ。
入れよ、って言った?


言ったよね!?