月夜に笑った悪魔



「じゃあ今日は諦めてやるから、早く俺を好きになれよ」



頬にキスをひとつ。

彼はすぐに私から離れて、優しく微笑んだ。


「……っ」


そ、そんなふうに『好きになれ』って言われて、すぐに好きになれるものでは……。



「……私のペースに合わせてよ」


前回も、今回も、暁のペース。
本当に好きなら私のペースに合わせてくれてもいいんじゃないか、と少し思ったり。


彼はなんて答えるかと思えば……。


「レンアイっていうのは攻めねぇと、いつまでたっても好きな女おとせねぇだろ」


やはり、私のペースを合わせてくれる気はないらしい。


「いや、でも……焦る必要もないって。暁だって言ってたじゃんか……」



『俺の嫁にするんだし、焦る必要はねぇからしてねぇよ』って、以前暁は言ってたような気がするんだけど?
私がはじめて一条組で朝を迎えた日に……。



「最初はそう思ってたけど、気が変わった。好きな女の心も体もすぐに手に入れたい」


前髪をさらりと手でどかされて、おでこに口づけ。


その一瞬のキスにすらいちいちドキッとするから心臓に悪い。