月夜に笑った悪魔



また、繰り返されるキス。
キスされるのと同時、彼の手が私のワンピースの前ボタンに触れ──……




「……っ!」


慌ててその手をつかむが、私の手は彼の大きな手によって絡め取られ。
今度は反対の手でつかんで制した。





そうしたところで、離れた唇。


「……ダメ?」


彼は至近距離で、下から覗き込むように見つめてくる。
まるで、お願いするかのよう。


そんなふうに見てきたって……


「……だめ」


私は息を整えながら小さく返した。
でも、彼は諦めない。


「どーしても?」
「……だめ」


「俺、今死ぬほどおまえがほしいんだけど」



絡め取られた手に、ぎゅっと強く力がこもる。

彼は少しも目を逸らさないから……心臓の鼓動がおさまらない。


……目も逸らせない。




もう一度「ダメ?」と聞かれ……私は小さく「だめ」と返した。



ぼうっとして正常な判断がすぐにできないけど、ここから先はだめだ。
こういう大事なことは、流されるようにしちゃいけない。

……キスもだけど。