「あの時のこと、思い出してた?」
動けずに固まっていれば、腕は解かれて。
顔をのぞき込まれた。
至近距離に整った顔があって、びっくり。
「……っ!」
言い当てられて、なにも返せない。
そんな私を見た彼の口角は、楽しそうに上がる。
「かわいーね」
一瞬、頬に触れた柔らかい感触。
……彼の唇。
だめだ、このままじゃ暁のペースになってしまう。
再び近づいてくる整った顔。
今度は唇を重ねようとしているから、私はとっさに両手で彼の口元を覆った。
キスするのがいやってわけじゃない……。
ただこういう行為は両想いの人たちがするものだから、私の気持ちが追いつくまでもう少しくらい待ってくれてもいいと思うんだ……。
時間もあるから焦るものでもないし、私のペースに合わせてくれても……
「っ!?」
彼の口元を覆った手に、濡れた感触。
なんと……手を舐められた。
反射的に手をどけてしまえば、彼はとまらない。
「んんっ」
唇が重なりあう。



