月夜に笑った悪魔



……こんなことも、人生ではじめて。

って、そんなこと思ってる場合じゃなくて!



「な、なにすんのさ……!」
「暴れんなよ」


「おりる!おろして!」
「絶対おろさねぇよ」




足をばたつかせても、おろしてもらえることはなく。

……そのまま、脱衣所に運ばれた。








この男、どこまでが本気なんだ。
それから、どこまで知ってるんだ。



暁は鋭いから……芽依の気持ちに気づいてるんじゃないのか。




さっき私が言ったのは、暁を取られたくなかったからとっさに言った嘘だってわかってるんじゃないのか。


暁を取られたくなかったのは、もちろん私の穏やかな生活を守るためで……その他にはなにも思ってない。
……なにも。



ガチャッ、と音がして閉められた脱衣所の扉の鍵。

そこで私は、ようやくおろしてもらえた。




「やっと2人きりだな?」


扉の前に立って、にやりと笑う彼。


「そこどいて!私もう行くから!」


扉の鍵を開けようとするが、その手をつかまれ……強く引き寄せられて、私は彼の腕の中へ。