月夜に笑った悪魔



……ん?
今すぐ?


暁は私の手を強く引っ張って。
立ち上がらせると、強く手を引いたまま部屋を出る。


……え。
入るって……お風呂に?

……一緒に!?


いや、私が言ったことだけどさ!?
あれは普通に嘘だってわかるよね!?






「ちょっ、ちょっと待って……!」


慌てて彼の後ろ姿に声をかけるが、彼が足をとめる気配はなく。
私は彼の手を思いっきりうしろに引っ張って、立ちどまった。


そうしたところでようやく彼も立ちどまり、「なんだよ」と後ろを振り向く。



なにって……。


「言っておくと、本当に一緒には入らないからね!?わかってるよね!?」
「さっき一緒に入るって言ったじゃん」


「え、あれは嘘で……わかってたでしょ!?」
「嘘とかわかんねぇ、知らねぇ」



彼は一歩二歩、と私との距離を詰めれば……急に背中と太腿の裏に手を添えてきて。





ふわり、と感じた浮遊感。


次に瞬きした時には、私は彼に抱きかかえられていた。
いわゆる、お姫様抱っこってやつ。