「それくらいなら貸してやるよ。とりあえず中行こうぜ、俺腹減った」
暁が芽依にそう返すと、近くにいた春樹さんの耳に届いたようで。
「今昼食の用意しますね!」
春樹さんはすぐに走って家の中へと入る。
「俺らも行こ」
暁のその言葉で、やっと彼から離れる芽依。
彼が歩き出せば、その右隣を半歩うしろからついていった。
赤らめた頬。
彼を見上げてじっと見つめるその瞳からは、なにか嫌な予感がした。
これは、女の勘だが……もしかして。
──芽依、暁のこと好きなの?
そんなことを思った直後。
「暁くんと芽依ちゃんはね、少し境遇が似てて。暁くんにはその痛みがわかるから、芽依ちゃんのことを放っておけないだけなの。
芽依ちゃんも暁くんによく懐いてて、2人は兄妹みたいな関係だからなにも心配いらないと思うよ」
私の顔を覗き込んできた千梨。
……境遇が似てる?
それはいったいどういうことだろうか。
それと、芽依のあの目は……兄を見る目ではないような。
「バカだね、千梨は。あれはどう見ても……って感じだよ」
うしろから聞こえたきた声。
振り向けば、蒼真と“良典さん”という男性の2人がいた。



