月夜に笑った悪魔



「娘が毎日おまえに会いたいと言っていてな……。夏休みに入ったことだし、数日娘を泊めてやってくれないか」


如月組の組長の言葉は、まさかの。


“芽依”という女の子は、如月組組長の娘だったなんて。
……その子が、暁に会いたがってたの?





「うちでいいならいいですけど」


彼は悩む様子もなく、即答。


「じゃあ数日頼む」
「わかりました」


会話はあっという間に終わり。

「邪魔したな」、と如月組の組長は最後に言うとすぐに背を向けて、門のところに停めていた車へと乗って行ってしまった。



今まで頭を下げていた人たちが顔を上げて、緊張感が一気になくなる。




「如月 芽依(きさらぎ めい)です……。よろしくお願いします、おばさん……」


小さく聞こえてきた、女の子の声。
声を出したのは、暁にずっとくっついたままの女の子。


彼女はちらりとこちらを見て、目が合えばまた暁の胸に顔を隠す。



……気のせいか、今、おばさんって聞こえたような。
絶対気のせいじゃない。


「お、おばさ……!?」


今、絶対言ったよね……!?
私に向かって!私はまだ17歳ですけど!?