月夜に笑った悪魔



近くで聞こえてきた言葉に、心臓がドキリとする。


なんて言われるのかと不安だったが、如月組の組長は「そうか」とただひと返すのみ。
良典さんは、優しく微笑んでくれる。



暁に触れられれば体が動くようになり、私は彼の手が離れたあとに「はじめまして」と頭を下げた。






「俺の話はこれだけです。明臣(あきおみ)さんのお話を聞かせてください」


淡々と話を進める暁。
私は数秒で頭を上げて、前を見た。







「俺のは話、というより頼みなんだが──」
「暁……!」


如月組組の組長が話している途中、声を出したのは一緒に来ていたショートボブの女の子。



その子はこっちまで走ってくると……暁に抱きついた。



「芽依(めい)」


彼に“芽依”と呼ばれた女の子。
暁は、抱きつかれて特に嫌がる様子もない。



小柄で可愛いこの子は……いったい誰なのか。


その子を見ていればぱちりと目が合って。
女の子はさらに暁に強く抱きつき、彼の胸に顔を隠す。