月夜に笑った悪魔



ガタッと席を立って、すごいはやさでこっちに向かってきたのは……銀髪のツンツン頭の若い男性。


その男性は、蒼真をどけると後ろにいた私にずいっと顔を近づけてきて。



「俺は八江 十(やえ みつる)、夜露死苦!」


至近距離で、挨拶をされた。


耳にはたくさんのピアス。
指にはシルバーリング。

いかにも“不良”って感じの男性。







「十、美鈴ちゃんが怖がるだろ」


蒼真は十さんを私から引き離して、ペシッと頭を軽く叩いた。


「わりぃわりぃ」


十さんが笑うと、見えたのは尖った八重歯。


「ごめんね、美鈴ちゃん。このバカは夜桜の幹部だよ、仲良くしてあげてね」


説明してくれる蒼真。
──そのすぐあと。





「お兄ちゃん!私たちもちゃんと紹介してよ!」


席を立って、こっちに駆け寄ってきた女の子。


その子が来た瞬間、香ったいい香り。


綺麗なロングヘア、その毛先が紫に染まった女の子は……美少女だった。


瞳が大きくて、顔のパーツがぜんぶ完璧。
可愛らしい笑顔で見つめられれば、ドキッとしてしまう。