この場に立っているのは、暁のみ。
3人、地面に倒れている。






……す、すごい。
これが……一条組の、若頭の力。




瞬きをして見ていれば、和正の胸ぐらをつかんで無理やり起こす暁。


……もう、決着はついている。
もう、戦いは終わりなはずなのに、彼は……和正を殴った。
それも1発だけではなく、何度も何度も。



「ごめんなさい!」と謝る和正を無視。




連続で聞こえてくる鈍い音。
飛び散る血。



小さくなっていく和正の声。



そんな血だらけの和正を見て、口角を上げてどこか楽しそうに殴り続けている彼。



返り血を浴び、暁も血まみれ。












月夜に照らされた彼は──まるで、悪魔。



その姿は、誰がヒーローだかわからない。
……殺してしまいそうな勢い。



って、本当に死んじゃう……。
和正が死んじゃう……っ!



暁にとまる気配はなく、私はすぐに起き上がって。
近くの椅子の上に置いてあったスマホに目が入り、それを手にとって暁に向かって投げた。




そして、投げたスマホは見事に暁の頭に直撃。
彼に当たって、大きな音を立てて床へと落ちたスマホ。