バイクからはだれかがおりて。
和正は……急に、足をとめた。
そして──
「おまえは……一条暁!?」
和正の驚く声が、この場に響く。
……え?
……一条暁?
耳を疑ってしまうような言葉。
暁が、なんて……。
目を凝らして少し離れたところ、バイクがとまっているほうを見てみると……そこには、確かに制服姿の暁がいた。
本当に、本物の暁。
暁が、来てくれた。
「俺の女、今すぐ返せ」
低く聞こえてくる、暁の声。
その声には、怒りが含まれていて私でも恐怖を感じる。
「う、動くな……!!動けば殺すぞ!!」
和正がスーツの内側から取り出して、暁に向けた──拳銃。
「ま、まさか一条暁が自らここに来るとはな……。そんなに美鈴がほしいのかよ、こいつは俺が抱きまくった汚ぇ女なのに。
俺の中古品がほしいとか、まじで笑う」
笑いながら言う和正だが、暁を目の前にして声が震えているのがわかった。
一方で暁は……拳銃を向けられているのに、一歩ずつ和正に近づいていく。
少しも怖がっていないように見えた。
……拳銃で撃たれでもしたら、ただでは済まないかもしれない。
それはわかってるのか、と疑問に思うほど彼はとまらない。



